2025.04.02
次世代の映像技術をリード、Hanwha Visionの新しいチップ Wisenet 9
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At a glance
- 厳しい環境下でも鮮明な映像を提供する最先端AI搭載SoC
- より高速かつ高精度なAI物体検知技術で革新的な分析性能を提供
- 業界特化型AIパックとの互換性により多様な業界ニーズに対応
- より安全で信頼性の高いシステムを実現するEnd to Endセキュリティ

これからのセキュリティには、よりスマートで効率的、かつ堅牢なソリューションが求められます。
Hanwha Vision こうしたニーズに応える形で、最新のAI技術を搭載したSoC「Wisenet 9」をリリースしました。
約4年にわたる研究開発と厳密な検証を経て誕生したWisenet 9は、革新的なAI機能によってカメラの性能を飛躍的に向上させ、AI時代にふさわしい新たなスタンダードを打ち立てます。
Hanwha Vision 商品企画担当のリュ・ジョンウ常務は、「Wisenet 9は厳しい環境下でも最適な映像を提供し、AIベースのデータ分析における精度を最大限に引き出します」と強調しました。
これは、カメラのエッジ側でディープラーニングのポテンシャルを最大限に引き出すために精密に設計された、AIベースの映像最適化技術の成果です。
エッジAIの革新的な飛躍
指数関数的に増加するセキュリティ脅威の複雑性と規模に能動的に対応するため、Wisenet 9は高度なエッジAI機能を活用し、セキュリティシステムの根本的なパラダイムシフトを牽引します。
カメラ本体での処理能力を最大限に引き出し、膨大な映像データをリアルタイムで深く分析することで、潜在リスクを示す兆候や主要パターンを見極め、セキュリティシステムの対応力を飛躍的に高めています。
この革新にあるのは、前世代のWisenet 7と比べて推論性能が約3倍に向上した2つのニューラルプロセッシングユニット(NPU)です。
従来のチップセットが1人で複数の作業を同時にこなしていたのに対し、Wisenet 9では、2人の専門家が協力するように、それぞれのNPUが画像処理と物体検知・AI分析を分担しています。
このデュアルNPUアーキテクチャにより、映像品質と分析機能に対して独立した計算リソースが割り当てられ、各機能が互いに干渉することなく高い性能を発揮できるよう設計されています。
隠れたディテールを捉える力
Wisenet 9の性能は、単なる画質の向上にとどまりません。AIを活用して映像データを精密に分析し、従来の画像処理を超えて、過酷な環境下でもこれまで検出できなかった微細なディテールを捉え、重要な情報を抽出します。
この視覚インテリジェンスは、以下のような高度なAI機能の組み合わせによって実現されています。
す。
- AIベースのWDR(Wide Dynamic Range): 極端な明暗差のある環境下でも最適な鮮明さを確保し、非常に明るい部分と暗い部分が混在する複雑な照明条件でも、すべてのディテールを識別します。
- AIベースのNR(Noise Reduction): 3段階のAI処理により、センサーやデジタルゲインに起因するノイズを効果的に抑制し、低照度環境でも高い映像鮮明度を維持します。
- AIベースのイメージ最適化: AIベースのイメージ最適化技術(ダイナミックレンジ拡張、画像シャープネス強化、色彩最適化など)を通じてイメージ鮮明度、品質を極大化します。
これらの先進技術の融合により、Wisenet 9は過酷な状況下においても卓越した視覚情報を提供し、わずかな変化も見逃さず、正確な状況把握と迅速な対応を可能にします。
AI効率の再定義
AIは強力な技術ですが、その性能を発揮するためには多くのリソースを要し、システム全体の運用効率に影響を与える要因となることもあります。Wisenet 9は、システム全体の最適化によって、こうした従来の課題を根本から解決します。
Wisenet9はAIベースのノイズリダクション(NR)技術により、従来製品と比べて生成されるデータ量を大幅に削減、ネットワーク帯域やストレージ容量の使用を最小限に抑えます。加えて、最新のH.265圧縮技術と組み合わせることで、効率性が一層向上します。
H.265コーデックは、365日稼働するセキュリティ環境において、安定したリアルタイム映像処理と伝送を可能にします。最適化された帯域幅により、高画質な映像を効率的に送信ができ、クラウド環境でもデータ管理が簡素化され、保存や伝送にかかるコストも抑えられます。また、業界標準であるONVIFプロファイルとの互換性を備えたWisenet 9のH.265コーデックは、広範なハードウェアとの親和性や既存のセキュリティインフラとのシームレスな連携を実現し、長期的な運用における安定性を支える堅牢な基盤を提供します。
Wisenet 9は、AIベースの高度な映像分析機能を通じて、色、バッグ、マスク、眼鏡の有無、年齢層や性別といった詳細な属性(Attribute)の分析はもちろん、滑りや転倒の検知、群衆の検出、ヒートマップ、キュー(待機列)管理といった新たな分析機能により、迅速かつ的確な意思決定を支援します。
これに加え、Wisenet 9の効率性をさらに高める次のような先進技術も搭載されています。
- RE-ID(Re-Identification)による高度な追跡・検索機能: Wisenet 9はディープラーニングベースのRE-ID技術を活用し、複数のカメラに映った同一人物を識別できます。この技術では、人物の特徴をベクトルとして抽出し、服装の変化や環境の違いがあっても、VMS上で高い類似性に基づいて特定の人物を追跡可能にします。
- DPM(Dynamic Privacy Masking: AIによるDPM機能は、カメラ側で効率的に個人情報を保護し、プライバシー関連規定への準拠をサポートします。柔軟なマスキングオプションにより、利用者のニーズに応じて、プライバシーレベルを細かく設定することができます。
拡張可能なAI
急速に変化する産業環境における多様化するセキュリティニーズに対応するため、Wisenet 9は優れたAIの拡張性を備えています。ユーザーは、以下のような専門的な機能モジュールを活用することで、従来の画一的なシステムを超えた、柔軟でインテリジェントなセキュリティソリューションを構築することができます。

- AIパック(AI Packs): Wisenet 9は、スマートシティ、リテール、製造業など、さまざまな業界に特化したインサイトを提供するよう設計されたAIパックと互換します。「リテールAIパック」では顧客の動線を分析し、「ファクトリーAIパック」では、立ち入り禁止区域への侵入や、危険を伴う機器の操作といった潜在的なリスクを検知することが可能です。
- AI音声分類(AI Sound Classification): AIベースの音声分類機能により、銃声、ガラスの破損音、叫び声などの緊急性の高い音を即座に識別し、発生した位置や方向を特定することで、迅速な状況把握と対応を支援します。
- Hanwha Visionオープンプラットフォーム: Hanwha Visionオープンプラットフォームを通じて映像分析やストレージなど、さまざまな機能拡張に対応するカスタマイズアプリケーション開発環境を提供します。これにより、ユーザーは個別のセキュリティ要件に最適化されたソリューションを構築でき、カメラの活用範囲は標準的な運用を超えてさらに広がります。
さらに強化されたEnd to Endセキュリティ
Wisenet 9は、Wisenet 7で築かれた堅牢なセキュリティ基盤を受け継ぎ、End to Endの保護をさらに強化することで、ユーザーのデータをより安全に守ります。Secure Storage、Secure OS、Secure Bootなど、チップ内の重要なデータを保護し、不正なソフトウェアの実行を防止する主要なセキュリティ機能を継承するだけでなく、FIPS 140-3 Level 3認証も取得しています。
この認証は、チップセットが厳格なセキュリティプロトコルに準拠していることを示すもので、ユーザーに包括的なデータ保護を提供します。
Learn more about the new Wisenet 9 camera lineups here.
*一部の機能および性能は、カメラのモデルや導入環境によって異なる場合があります。
*RE-ID、AI音声分類、AIパックとの互換性は、今後の対応を予定しています。